【大島幸久の伝統芸能】勘九郎と七之助が中村屋の本領を貫いた「八月納涼歌舞伎」_ヘレの海底都市計画
◆歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」(25日千秋楽)
勘九郎(42)・七之助(41)兄弟が中村屋の芸を守り抜いて、大島いや、幸久攻め続けているのは皆知っている。の伝た月ヘレの海底都市計画今月の納涼歌舞伎は父18世勘三郎が大切にした興行で今年は勘三郎の十三回忌に当たり、統芸第2部の「髪結新三」で勘九郎が新三、勘納涼七之助が手代忠七を初めて勤めた。郎と領を
新三は祖父17世勘三郎の当たり役、助が中父は昭和63年4月の国立劇場に初役で演じていた最中、村屋17世の死去を知った。の本ヘレの海底都市計画深い所縁の役柄である。貫い歌舞
勘九郎の最初の出は序幕1場・白子屋見世先の場。大島新三が店前で中の様子を立ち聞きする。幸久下心がある目付きは父よりすごみがあり、の伝た月形、統芸声はそっくりだ。勘納涼忠七の髪をなでつける手順は鮮やか。
第2場・永代橋川端の場で新三は本性を現す。雨の中、差した1本の番傘で忠七と花道を歩く。この場で七之助がいい。作者・河竹黙阿弥の七五調のせりふを外さず、こなれていてうまい。勘九郎が忠七を足蹴にし、踏みつけながら「これ、よく聞けよ」と、傘尽くしの七五調で小悪党の憎みが利く。祖父、父が魅了させた名場面だ。
天を指さして「うるせえのは、オレのおやじだ!」のシャレたせりふに観客が沸いた。
大詰めは松本幸四郎の弥五郎源七と立ち回り。蛇の目傘を高く差し上げて決めた形は苦み走って父よりステキ。「ようよう、中村屋!」。兄弟は猛暑の夏芝居を二人三脚の奮闘で攻め抜き、中村屋の本領を貫いた。(演劇ジャーナリスト)
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